看護師国家試験:論作文

看護師国家試験の科目別勉強方法
作文論文の過去問題や出題傾向について

論作文試験って?

論文とか作文とかよび方はいろいろながら、推薦入試では 70 %以上、一般入試でも 3 分の 1 から半数の学校で実施しています。論文というと堅苦しく構えがちですが、無理に背伸びをせず自分の言葉で自分を語る、それがいちばん大切なことです。

論作文は学科試験と違って点数にしにくく、合否決定に大きくひびくとは考えられません(「判定の資料にする」と要項に明記しているところもみられます) 。では、なぜ作文の試験が行われるのでしょうか。それは、文章には書いた人の人間性がよく表れるからです。思想、考えをまとめる力、表現力、国語カ、教養までも文章にはにじみ出ます。それを学校側はみようとしているのです。

評価基準の例

ある短期大学が小論文の評価点としている項目を紹介しましょう。
この短大では小論文は 2 題あり両方受験しなければなりません。それぞれ 90分。本格的な「論述」を求めていると思われます。評価されるのは次の点です。

1 . 看護学を学んでいくうえで必要と考えられる基本的な知識

2 . 看護師にふさわしい人間性

3 .医療にかかわる事柄に対する真剣な態度と豊かな関心

4 .対象を冷静に観察し、合理的に推論・判断できる能力

5 .自分の考えを正しく伝えることのできる表現力

6 . 社会の固定観念や先入観にとらわれない独創的な発想力

なんだか難しそうですが、各項目はどれも納得できることばかり。この評価点は、ほかの学校を受験するにしても覚えておいて損はありません。

論作文試験攻略の秘訣

テーマによって書き分ける

出題方法には 2 通りあります 01 つは課題を出してそれに応じた文章を書かせるもの。もう 1 つは、ある文章を読ませて要点や問題点をまとめさせ、または受験者の意見・感想を書かせるもの。おおかたは前者ですが最近は後者も増えています。

課題は何のために与えられるのでしょうか。もちろん 1 つには受験者が迷わないようにとの配慮からです。しかし、これは試験ですから出題者の「意図」はあります。その意図を察知してテーマをつかみ、求められている文章を書くことが必要です。では、出題者が求める文章とはどんな文章でしょう。過去の出題から課題をいくつかに分類し、それぞれについて考えてみましょう 。

受験者自身のこと

・私の生活信条・私の大切なもの・高校生活を省みて・私の生きがい・私の希望

, (サムエル=ウルマンの 『 青春」を読んで)あなたの青春について自分を語ることはだれにもできます。でも上手に語れる人はあまりいません。自分のことはあまりに身近すぎて思い込みが多く、他人にわかりやすく語るのが難しいからです。そこで、いちばん大切なのは客観性。「わたしはこう思う」という主張はもちろん抜かせませんが、それに対する周囲の人の評価や、それを実践した経験などを交えて書くとよいでしょう。具体例を通してあなた自身の姿が読む人に伝わる、そんな文章がいいのです。

人間関係

・他者へのかかわりで大切なもの・他人の痛みを感じるということ・親を語る・影響を受けた人・尊敬する人 5 人をあげそれぞれについて述べよ

看護職にとって人とのかかわり方は最重要点。「他人の痛みを感じるということ」などはそのままずばり、将来看護師になる人として欠かせない資質が問われています。あなたは、自分以外の人を受け人れ、相手の立場になって考えることができるでしょうか。

・私の看護師像・私の考える看護・私が看護師を選んだ理由・本校受験の動機・ 20年後の自分を夢みて職業観が問われています。これから歩もうとする道を現実のものとしてとらえているかどうかということ。大事なのはなにより意欲の感じられる文章であることです。看護に関する知識もあるにこしたことはないのですが、その場合は受け売りに終わらないように 。 「あなたの」看護師観、決意が求められているのです。大事なことがもう 1 つ。あなたはこの道の入口にきたばかり、まだ未熟者だという認識です。いいかえれば謙虚さ、これからおおいに学んでいきたいという姿勢をみせてください

社会問題

・現代社会で興味をもった出来事・私たちの生活とゴミ問題・シルバーシートと私・清潔さ偏っていますヨ、若者諸君・医療技術と生命について・認知症老人(素材文の要約とそれに対する考え)こういうテーマの文章に欠かせないのは問題意識 。1つの社会事象をただながめた感想ではなく、その問題点はどこにあるか、解決するにはどうすればいいか、また、そのこととあなたのかかわりはどうかというように問題を掘り下げていく態度が必要です。医療に関係の深いテーマの場合はなおさら。将来面と向かうことになる問題にどれだけ関心をもち研究しているかが問われることになります。類似の課題は今後も出題が多いと予想されます。

テーマレッスン

知っておきたい用語

インフオームド・コンセント=説明に基づく同意 十分な情報を与えたうえで患者の意思の反映として医療内容を決めていこうとする方式。

クオリティ・オブ・ライフ

クオリティ・オブ・ライフ=生活の質病気さえ治ればいいというのでなく、患者の生活や人生の質的な面を重視する医療の考え方。

ターミナル・ケア

ターミナル・ケア=終末期医療死期が近づいた人に対する、主に苦痛を和らげるための医療。

脳死臓器移植

脳死臓器移植脳死は、生命維持装置により呼吸や血液循環はしているが脳の機能は不可逆的に停止状態にあること。これを死として、この段階で臓器を取り出し他人への移植を認めようとする見解。

リビング・ウイル

リビング・ウイル人としての尊厳を守るため、末期状態のいたずらな延命治療は望まないと前もって意思を明らかにしておく文書。「生前に発効する遺書」どいう意味。

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